Report:2025年4月/激動の韓国情勢と李在明ー「李在明自伝ーわたしが目指す韓国」出版記念講演ー

2025年4月例会は、「激動の韓国情勢と李在明」元朝日新聞ソウル支局長でJCL会員の波佐場清さん。この日、上梓されたばかりの「李在明自伝ーわたしが目指す韓国」(東方出版)の出版記念でご講演いただきました。2025年12月3日夜の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による非常戒厳宣言からちょうど4ヶ月、翌4日には憲法裁判所による、尹大統領弾劾の判断が出されるという、「韓国全土が非常に緊張している」状況でのお話でした。

波佐場さんは「わが国民の自由と幸福を略奪している破廉恥な従北反国家勢力を一挙に追放し、自由憲政秩序を守るために非常戒厳を宣布する」と言う尹大統領の「宣言」は、日本の「ネトウヨ」勢力が語るような言葉使いで特異に感じたと指摘。この3年間の韓国の政治状況は、尹錫悦大統と、最大野党「共に民主党」の李在明代表の、ほぼ同世代ではあるが、対象的な経歴、生い立ちの二人の闘いを軸に動いてきたことを説明されました。

尹大統領は、私立の中学校から名門高校、ソウル大法学部、9回目ではあるが司法試験に通って検事になり、検事総長から、保守「国民の力」から大統領選挙に出て当選。一方の李在明代表は、小学校卒業後すぐに工場で働き、中卒、高卒の資格は検定で取得、大学受験、司法試験に合格、弁護士になり市長、知事を経て大統領に挑戦。双方が1600万票以上取っている中で、両者の得票数差のはわずか25万票で、李在明代表は0.73%で敗れました。

この結果を考える時に必要なのは、保守と進歩は何が違うのか?という視点だと言います。まずは「北」政策、そして続く富の分配か成長か、財政緊縮か拡大か、法と秩序か、多様性か?さらに、対日政策で李在明氏は変化してきているという指摘もありました。明日(2025年4月4日)、尹大統領が罷免されたらただちに大統領選挙。罷免に対する抗議は数日で収まるだろうが、罷免にならなかったら大混乱になる可能性が高い。罷免は当然だと考える韓国民が多数の中で、それに反する判決を出すのは難しいだろうという見通しをお話しされ、当日の月例会は終わりました。(G)

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