Report:2024年12月/西村会員による中国レポート

2024年12月例会、「転機を迎えた中国、ジャーナリスト訪中団報告」。

講師は、西村秀樹(JCL会員)。西村は、2024年11月11日から15日まで、中日友好協会の招待で、ジャーナリスト訪中団の一員として訪中しました。その報告です。

「社会的報復」という言葉が訪中団の訪問先でささやかれました。訪中初日の11月11日、中国・南部、広東省の珠海市でクルマが暴走・群衆に突っ込み、35人が死亡、43人が負傷しました。10月には北京の有名な小学校で刃物をもった男が突入、5人が負傷。9月には上海のウォールマートで3人が死亡しています。こうした一連の事件に対し、日本経済新聞や英国BBCが「社会的報復」ではないかと報道しました。

思い出すのは、日本の秋葉原事件です。2008年、派遣労働者がレンタカーのトラックで秋葉原の歩行者天国に突っ込み7人が死亡、10人が負傷した事件です。直後、広島の自動車会社の本社工場でも同じようにクルマが労働者に突っ込み死者がでました。この時期は、日本の労働法制度が変わり、それまで導入が許されなかったモノづくりの現場に派遣労働者制度が導入された時期です。

社会が変わるとき庶民の不満のはけ口は直接権力に向かうのでなく、同じ庶民への「犯罪」行為として「社会的報復」をするのです。「黒い猫も白い猫もネズミを捕るのがいい猫」という鄧小平流「社会主義」で豊かになったはずの中国に、いま、庶民の不満が充満しています。地方自治体の不動産「負債」にはじまったバブルの崩壊が経済の停滞という結果を産んでいます。

その一方で、視察先はEVの自動車メーカーでした。30年間停滞した日本にくらべ、中国では技術革新や新進の気風に満ち溢れていました。引っ越しのできない、日本の隣人、中国にこれからもウォッチングし、報告をお伝えします。      西村記

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