Report:2025年7月例会/放送の自由と人権の狭間でーーBPO放送人権委員12年の課題から

 2013年にBPO放送人権委員会委員に就任して以来12年間にわたる経験を踏まえ、BPOという機構が設立された社会背景、仕組み、役割、またその限界などについて説明されました。直近の出来事として参政党が同党に批判的な番組について放送人権委員会に申し立てることを表明した点を取り上げ、運営規則などを紹介して政治家や政党に対するBPOの向き合い方が解説されました。また、二つの事例について委員会決定などを示し、決定に至る判断基準がどのようなものであったのかが詳しく説明されました。いずれも、番組に出演した女性とその家族からの申し立てによるもので、ジェンダーの問題や出演者個人と放送局という圧倒的な立場の違いなど申立人の苦悩を認識した上で表現の自由への配慮にも留意した難しい判断であったことが述べられました。

 12年間を振り返ってなお達成できなかった点として、思いを込めた決定がなかなか制作現場に浸透せず、同じような問題が繰り返し発生していることを挙げ、当該局だけでなく制作者全員に委員会のメッセージが届く工夫が必要だったとの感慨が披露されて会は終了しました。

0コメント

  • 1000 / 1000