Report:2025年11月例会/少年院における矯正医療

自由ジャーナリストクラブの11月例会で日本最古の少年院、浪速少年院医務課長、中野温子さんの話を聞いた。話のタイトルは「少年院における矯正医療」。あまり知らないことも多く、また、本来の矯正の在り方とは、という彼女の日頃の体験から来る問いには考えさせられた。少し長くなりますが、一部紹介します。


中野さんは大学卒業後新聞記者(実は僕の同じ社の後輩)になり、裁判取材も経験して精神科医、それも司法精神医療の分野を志して医師に転じた。そして少年院で子供たちに相対して3か所目になる。


まず基本的な事実を押さえておくと。①少年院は18歳未満ではなく今も20歳未満が対象②少年による刑法犯等の検挙人員は同じ年齢の人口比では成人よりずっと少なく、それも近年人口比率では激減している③入院する事件では浪速少年院の場合大麻がトップ。数年前までは大麻は4-5位だった。いずれも僕はよく知らないことだった。


中野さんは浪速少年院で医務課長と言う肩書だが、医師は自分1人だけ。看護師、薬剤師、医療心理士など医療職は他にいないから全部1人でやらなければならない。入院している少年90人、職員71人の身体的な健康管理を行う。


それだけでも大変そうだが、中野さんの場合、専門が精神科だから子供たちとの面談をひたすら行う。というのは子供たちは虐待、いじめを受けた経験がある者が大半。ある子は連日のように父親に殴られ続け、「体は痛みに慣れるけど、心は痛いですね」と述懐した。やはり大半が不遇感、疎外感が強く、薬物、強烈な飲酒、ギャンブルなどに走る。


聴いた結果をイントラネットで積極的に職員と共有して「この子はなぜ犯罪を犯すようになったのか」を留意してもらうようにしているという。


彼女は非行少年に対する見方の転回が必要との見解だ。少年たちは「犯罪者」ではなく、酷薄な成育歴の中の「サバイバー」、その意味で軽蔑するのではなく、リスペクトするべきだと言う。理想主義的すぎるという人もいるかもしれないが。


最後に彼女が紹介した「ある少年の『成人の誓い』」を書き留めておきたい。タイトルは「愛」。


「誰かを愛することは、幸せなことだと思う。しかし僕は、たった二人の存在の愛を感じることすらできなかった。それは、実の両親の愛。僕は、捨てられた子供でした。少しでいいから、親の愛を体で感じたい。それが不可能だとわかったとき、僕は心の中で誓った。いつか、自分が父親になったら、必ず、必ず、自分の人生が終わるまで、我が子を愛し続けます」(F)

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